Date: Fri, 12 Apr 1996 10:50:05 +0900
From: Hirabayashi Hiraku
Subject: [climbing 2451] homegym 

平林です。

僕の作った壁 (homegym) についてお話しします。
長いので興味のない方はお先にどうぞ (^-^)

以下、建物の内側の壁を「建物の壁」、ホールドを
付けるための壁を単に「壁」とします。その壁は
パイプで組まれた「フレーム」に固定してあります。
壁は木でできている「パネル」とパイプからできています。


まず僕の家の環境(建物の構造)について簡単に説明
しておきます。なぜなら、環境次第で設計そのものが
大きく変更される可能性があるからです。

建物の壁は弱い為無理な力がかけられない。そのために
壁は自立したフレームに固定する必要があった。
3畳の納戸で homegym 以外の使用は考えていない。
下の様な間取りであるため、壁の後ろ側に回り込む為の
「動く壁」が必要。


(上面)
______________________
|           |        |
|    壁     | 動く壁 |  「壁」の幅 1700mm
|           |        |  「動く壁」の幅 900mm
|___________|________|
|                    |
|                    |
|                    |
|___________*********|
              入口

(横面)
_________________
|                |
|*      *        |
|*       * 壁    |
 *        *      |
           *     | 
            *    |
入           *   |
口            *  |
               * |
________________*|


入口の上の **** はフィンガーボードです。


建物の壁が丈夫で加工できる場合は、

 'Flash Training'
         Eric J.Horst
         How to rock climb series
         CHOCKSTONE PRESS

などを参考にした方が簡単でしょう。

'岩と雪' にも2回ほど homegym に関する記事があった
ようです。





1:部品

★フレーム

○ パイプ
過激派がロケット弾を飛ばすランチャーとして使用している
じゃなくって、工事現場で足場用として使用されているパイプ
	外直径 46mm (本当は 46.8mm ?)
	4m、5m、6m の3種類の長さがある。
(購入元)
金物屋さん。
小さな店では扱われていない様です。僕は土建屋さんと
取り引きしている大きめの店で買いました。その店にある
ゴツイ機械の使い方を教えてもらい自分で切断しました。
その後配達もただでしてくれました。
もし金鋸で切ると1箇所の切断に10分位かかります。また、
金鋸の歯は3箇所程切ったら交換しても良いと思います。
トレーニングを兼ねるなら別ですが  (^-^)
金物屋さんでの購入価格は 1000円/m 位です。
(1トン買うと 400円/1m 位らしい)
そのほか、無線屋でも手に入りますが、3倍以上の値段と
めちゃくちゃな送料を請求されるかもしれません。また、
3m のパイプしか扱われていないかもしれません。
(切った残りが出たら、もったいない (^_^; 

○ パイプとパイプを接合するため金具
このパイプ専用の金具があります。全部で3種類あって、

(1)2本のパイプを垂直に接合する
(2)2本のパイプを自由な角度で接合する
(3)2本のパイプを垂直に接合し、3本目のパイプを自由な
    角度で接合する

です。(2)(3)の自由な角度で接合されたパイプは、
その角度方向(面)には固定されずに、くるくる回ります。
(購入元)
パイプと同じ所で手に入ります。
購入価格は 400円/1つ 位です。


★壁

○ 板
ホールドを付けるためのボード。
やはり工事などの時に、コンクリートを流し込む形枠(?)
などとして使われる合板(らしい)。コンパネ。
厚さ15mm で1800mm X 900mm
4000円/1枚 (たぶん)
木の種類は分かりません。
(購入元)
木材屋さん。全て切ってもらいました。
東急ハンズ などでも手に入りますが高くつきます。

○ 垂木(たれぎ)
コンパネ(板)を補強するために使用します。
34mm X 70mm
値段は忘れました。
(購入元)
木材屋さん。
1本5mとか。凄く長い。切ってもらいました。

コンパネと垂木は木ネジで接合されています。
300mm ごとに木ネジ1本位です。
ドリルで下穴を開けておきます。

(裏面) 横向きで使う場合  「壁」
  _______________
 |_______________|
 |               |
 |               |
 |               |
 |---------------|
  ---------------


(側面)
 ___
| |_|
| | 
| | 
| | 
| |_
|_|_|


(裏面)縦向きで使う場合  「動く壁」
  ___________
 |___________|
 |           |
 |           |
 |           |
 |-----------|
 |-----------|
 |           |
 |           |
 |           |
 |-----------|
  -----------

これらのパネルはフレームで使用した物と同じパイプに
金具(仮に「金具A」)とボルトで固定し「壁」とします。
パネルの垂木部分に穴を開けてボルトを通し、そこに
パイプを金具Aで止め、先程のボルトで絞め付けるわけです。
もちろん、ボルトが金具Aとパネルに接する所にはワッシャ
を入れておきます。

○ 金具A 
秋葉原の無線屋(ロケット)で買ってきました。
三面図を下に書きます。

     幅80mm 
 _______________
|  __       __  |
| (__)     (__) |
|_______________|
 _______________    _____
|     _____     |  |     |
|____/     ¥____|  |     |

80円/1つ  です。




2:組み立て

★フレーム
いわゆる櫓です。足は4本で、自立しています。

三面図

 |o                     o|
 +-------------+---------+
 |             |         |
 |    (上面図) |         |
 |             |         |
 +-------------+---------+
 |             |         |
 ||            |        ||
 ||            |        ||
 ||            |        ||
 ||            |        ||
 ++------------+--------++
 |o            |o 入口  o|
                
                                      (A)
 o||           o|      ||o             o
  ++------------+------++    +--------+--------+
  ||            |      ||    |       /         |
  ||            |      ||    |      /          |
  ++------------+------++    |o    /           |
  ||                   ||    |    /            |
  ||                   ||    |入 /             |
  ++-------------------++    |口/             o|
  || (入口から見た図)  ||    | /               |
  ||                   ||    |/                |
  ||                   ||    +(側面図)      (B)|


但し、

「o」 : パイプを上から見た絵
「|」 : パイプを横から見た絵
「/」 : 補強の為のパイプ

です。(A)から(B)にかけて「壁」が付きます。
したがって(A)の位置で壁の角度が決定されます。
補強の為の斜めのパイプのみ(2)の金具を使用し、
それ以外は(1)の金具です。

建物の壁とフレームは2、3cm位の隙間があります。

中程の中途半端なパイプはフィンガーボードを
取り付ける為で、フレームとしては必要ありません。



★壁

「壁」と「動く壁」の2種類です。


「壁」
全て横向きにパネルを使用。
1700 X 900mm が2枚
1700 X 600mm が1枚

   |            |
  -+------------+-
 | |            | |
 | |            | |
  -+------------+-
 | |            | |
 | |            | |
 | |            | |
  -+------------+-
 | |            | |
 | |            | |
 | |            | |
  -+------------+-
   |            |


「動く壁」
縦向きに使用
900 X 1800mm が1枚
900 X 400mm が1枚

   |        |
  -+--------+-
 | |        | |
  -+--------+-
 | |        | |
 | |        | |
 | |        | |
 | |        | |
 | |        | |
 | |        | |
 | |        | |
  -+--------+-
   |        |


穴の数は多い方が沢山のホールドを付けことが
できるので良いでしょう。僕は1700X900mm の
ボードに 60〜70個の穴をあけました。
これ以上あけても、ホールドがぶつかりあってしまうので
無意味です。強度的には問題を感じていません。
フットホールドの付く下側は20個位です。

壁とフレームは(3)の金具で上側のみで固定されています。
(1)でも問題ないと思いますが、「動く壁」のボルトを
緩める隙間が欲しかったもので。
「動く壁」は上側の2箇所のボルトを外すと手前に倒れて
来ます。そうしておいて裏側へ廻り込むわけです。

床と接している所は板の余りを敷いておきます。


3:ポイント

実際に登る前にフレームのボルトを少し緩めて、
少しよじれた状態にして固定しなおすときちんと
自立してくれます。ぐらぐらしません。補強の
為のパイプがうまく使えます。

その際、フレームの後ろ側の足は浮いていた方が
良いでしょう。(壁のパイプで支える)

「動く壁」が必要無いなら「壁」は1つ(壁の裏の
パイプは全部で2本)にした方が安定すると思います。
「動く壁」が必要なら厚いゴムを敷いて、その上に
「動く壁」を置くと安定します。

ホールドを固定する為のナット(板にメリ込む奴)は
T ナット 又は、爪付きナット と言うそうです。
ホールドを個人輸入する場合、大抵インチネジが
付いて来ますから、Tナットもインチ規格が良いでしょう。
(Tナットよりもボルトの方がはるかに高い)
金物屋で手に入ります。2000円/100個 位です。
無理矢理ねじこめば、jis ネジも入りますが、ネジは
どちらかの規格に統一しておいた方が良いと思います。

色々なお店で「なに作るの?」と聞かれたらしめたもの。
きちんと説明してあげましょう。人工壁なんて変わった
物ですから、興味を持ってくれて色々なアイデアを
もらえます。おまけしてくれるかもしれないし。


4:おまけ
ホールドが少ないと飽きます。
     ! ! そこで ! !
日本のホールドは高いので個人輸入は是非やるべき
だと思います。(僕は1$=80円台の時でしたが)
海外のお店から買うより、直接メーカーへ問い合わせて
見るのも手です。ホールドのメーカーは何処も小さい
様なので結構相手にしてくれますし、安く買えたりします。
(4つで8$てのがあった! しかも気に入ってます)
僕は「おたくのホールドに興味があるけど日本では
売ってない。どうしても欲しいから売ってくれ」とか
やってました。カタログもただで送ってくれました。
パンプ2には色々なホールドがあるので、気に入った
メーカーがあったら買っちゃいましょう (^-^)
そう言えば、www でホールドの評価をしている人が
いましたね。上の本 'Flash Training' にも多少紹介
されています。古いけど。


5:余計なお世話?
前にも書きましたが、結構響きます。夜中に遊ぶと
うるさがられるかもしれません。
僕は下にベット用の厚いマットとボロ毛布を敷いています。
でも一番うるさいのは足ですね。
えっ、フットワークが悪いって?


6:蛇足
僕が作っていたのは、ちょうどオーム事件で世間が
騒がしかった時でした。鉄パイプは相当怪しかった
ようで、近所で話題になっていたとか。



うぅーん。こんな所かな。でも初めて読んだら
チンプンカンプン だろうなぁ。日本語ヘンだし。
というわけで、分からなかったら質問してください。
変な日本語でもよろしければお答えします。

でも作り始めると考えるから以外と何とかなります。
組み立てもパズル的になりますが一人でできます。
あとはケースバイケースで頑張ってください。
あれ? 無責任かな?

[Copyright (c) 1996 by Hiraku Hirabayashi]